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◆ 日本・アメリカ・中国の高校生の意識 ◆
先日の新聞に、日本・アメリカ・中国の高校生を対象にした意識調査の結果が掲載されていたのですが、実に考えさせられる内容でした。
この調査は、文部科学省所管の教育研究機関が実施したもので、3ヶ国の高校生に、学業や生活態度、家庭や国に対しての意識などを調べています。
それによると、自分の将来に明るい希望を抱いている生徒数は3ヶ国の中で日本が最低であり、将来に備えてしっかり準備しようという米・中に対し、日本の
生徒は「今が楽しければ」という享楽志向が強く、学ぶ意欲と努力に乏しいという姿が見られます。また、「積極的に親の面倒をみる気がない」とする割合も日
本が最も高く、刹那的、自己中心的に生きる日本の若者意識が浮かび上がっています。
愕然とさせられるのは、「国」に対する意識のあり方です。自国に誇りを持てない若者たちがきわめて多いという現状に、教育改革の緊急性と重要性を私は感じています。
◆ 意識低下は社会不信の表れ ◆
勉強が嫌い。消極的で自信がない。将来に悲観的で自分の国に誇りが持てない―。これが現代の日本の高校生気質だとすれば、あまりに寂しいことです。
少年犯罪の凶悪化や若年齢化、ニート(=働く訓練も教育も受けずにいる若者)の増加は、こうした若者意識と無関係ではありません。
若者たちの意識低下の背景には、社会に対する不信があります。彼らは今の社会に夢など見いだせず、明確な自信も持てない自分に不安感を抱いているのでしょう。
若者たちが日本という国や自分自身に対して誇りを持てるようにすることは、学校教育だけに課せられた問題ではありません。調査から浮かび上がった問題点を、日本社会全体が重く受け止めるべきです。
学力の低下は、「ゆとり教育」の名の下に子どもから学ぶ意欲を奪い、学校から競争を排除することで努力を不要なものにしてしまった大人たちの責任ではないでしょうか。
今回の高校生意識調査の結果は、まさに世を写す鏡なのです。「良識的な大人」たちのよく使う「今の若者たちは…」などという台詞を言う前に、私たち大人が、自信を持って自分と向き合い、自分たちが誇りを持てる社会を築き上げなければいけません。
◆ いわゆる「教育論」を説く前に ◆
幼稚園の園長を務める私にとって、そして政治に携わる「新藤義孝」として、教育問題は生涯をかけたテーマです。学力の低下、躾け、いじめや不登校、更には教育基本法の改正…現代の教育が抱える課題は数多くあります。しかし、最も重要なことは、制度や技術論ではなく、教育の根幹にある「社会が子どもを育てる力」を見直すことだと思っております。
ご都合主義が横行し、自らの利益を追求するためにはどんな手段をも使う。人間関係をないがしろにしたり、礼儀をわきまえず、野心のみで行動する。そういう風潮が蔓延していることを嘆くのは、果たして古いことなのでしょうか?
実直に真っ正面から取り組み、人のために汗をかくことの尊さを見直さなければなりません。子どもや若者は、親や大人を見ています。私たち大人は、街のコ
ミュニティや家族の大切さ、人情や義理など、昔から日本人が大事にしてきた人との繋がりを、次世代を担う子どもたちにきちんと伝えていかなければならない
のです。
◆ 市長選挙・市議補選に参加しよう ◆
今月5月15日からは、川口市長選挙・市議会議員補欠選挙が実施されます。昨今の若者の政治離れや投票率の低迷は由々しき問題です。もちろん、有権者に対して政治に関心を持たせられない政治家にも非は多分にあります。明確な政策的主張も打ち出さず只ひたすら大声で名前を連呼するだけの選挙活動を行っていたのでは、若者が投票に行く気にならないのも無理はありません。
確かに主義・主張を伝える努力工夫が足りないのは、私たち政治に携わる者の怠慢ですが、しかし一方で、大人たちが、政治に参加する最大の機会と権利であ
る選挙に無関心であるならば、それを見て育った子どもたちも社会への関心が希薄になっていってしまうのは当然のことです。
どうか皆様が、各候補者の主張を見極め、信念を持って投票していただきたいと心から願っています。大人たちが積極的に社会に係わっていく姿を示す。そうしたことも、非常に重要な「社会的教育」のひとつだと思っています。
新 藤 義 孝 |