週刊新藤第211号 「日・韓図書協定」に大きな疑問?~我が国外交に汚点を残す大失策への抗議~

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この問題に関する外交部会の議論の模様が自民党HPに掲載されています
http://ldplab.jp/station/2ch/)。また「オレの話を聞いてくれ!」
http://ldplab.jp/station/5ch/)にも私の動画がありますので、ぜひご覧ください。


 APECが開催されていた11月14日、前原外務大臣と金星煥韓国外交通商部長官は「日韓図書協定」に署名しました。今年 8 月10日に菅総理大臣が「日韓併合百年」の総理談話の中で発表した、朝鮮王朝儀軌等の図書を日本から韓国に引き渡すことについて、日韓両政府が正式に合意したこととなります。
 朝鮮王朝儀軌とは、李氏朝鮮時代の王室行事等を記録した図書のことで、日本が朝鮮を統治していた期間に朝鮮総督府を通じて日本側にもたらされました。今回の協定は、この儀軌をはじめ日本政府が保管する朝鮮半島由来の貴重な図書を韓国政府に引き渡すことを定めたものです。
 しかし、この協定は内容的・手続き的に極めて問題が多く、我が国外交に大きな汚点を残しかねないものであると、私は考えています。


◆ 事前調査なしの軽率な決定

 まず、国と国との協定である限り、関係事項について事前に綿密な調査が行われるべきです。
 特に、引き渡す図書の価値やその引き渡しの是非を判断するには、専門家や関係学識者からの意見聴取が不可欠ですが、呆れたことに政府は一切の調査を行っていないのです。
 国有財産の引き渡しという国家にとっての重要事項を、必要なプロセスも経ず、極めて安易に決めてしまうことは、国家の財産を管理するという政府としての基本的な認識が欠如しているといわざるを得ません。


◆ 日本からの一方的な片務協定

 政府は今回の協定の意義を、日本と韓国の文化交流・文化協力を通じて両国の友好関係の発展に資すること、と説明しています。
 であるならば、両国が互いに義務と責任を果たす相互協定でなければなりません。
 しかし今回の協定は、日本が韓国に一方的に図書を引き渡す片務的な内容であり、政府が主張する意義には全くそぐわないものです。
 実は韓国には、日本が引き渡しを求めるべき貴重な図書が多数残っているのです。現在、韓国の国立中央図書館には日本統治時代に搬入された数万点の日本の古典籍が保管されています。
 また、韓国の国家機関である国史編纂委員会には、対馬藩主の宗家から朝鮮総督府に流出した古文書約三万点が所蔵されています。
 これらの古文書は、今回日本側から引き渡す図書と全く同じ条件で、韓国が保管しているものです。
 「日韓の文化交流のため」の協定を結び、日本にある朝鮮王朝の古文書を韓国に引き渡すのであれば、韓国に残されている日本図書も、当然日本に引き渡しされるべきです。
 驚くべきことに、今回の交渉において日本政府は一切の要求を韓国側に行っていないのです。
 それどころか、要求すべき古文書の存在を全く知らなかったことが明らかになりました。


◆ 事実を知らずに交渉した政府!

 この韓国に残されている日本古文書の存在は、日韓の協定合意を11月9日の新聞報道で知った私が、韓国を研究している大学教授に問い合わせした中で明らかになりました。
 私は急いで外務省の担当者を自室に呼び、事実確認を行いました。
 協定署名のまさに直前である11月11日、私の事務所に来た外務省の担当者が「そんなのあるんですか」と頭を抱え、目を丸くしていたのをよく覚えています。
 今回の協定締結は、仙谷官房長官と菅総理らによる 8 月の唐突な総理談話で示され、調査も準備もなく政治的に一方的に決められたものを、外務省がただ言われるままに作業しただけにすぎません。
 日本が韓国に一方的に権利を供与するという、まことにお粗末な外交失態は、民主党政権の政権担当能力の欠如をまたもやさらすことになりました。


◆ 許せない国家主権の軽視

 そもそも1965年の日韓基本条約によって日韓両国はお互いの相手国に対する一切の請求権を放棄しており、また文化財に係る問題は、同年の日韓文化財・文化協力協定によって解決済みです。
 今回引き渡しされようとしている図書も、これまで韓国の国会や関係団体からたびたび要求がありましたが、日本政府は財産請求権問題は解決済み、という立場をつらぬき、取り合ってこなかったものなのです。
 それにも関わらず「日韓併合百年」に関連付けて「反省と謝罪」の気持ちを込めて我が国所蔵の図書を引き渡すのであれば、解決済みの問題をもう一度外交問題化させ、韓国国内における日本への新たな文化財引き渡し要求を高めることや、その他の新要求にもつながりかねません。
 実際に韓国では、民間所有のものや日本側が購入したものを含めた他の在日文化財の返還を求める声が出てきています。政府の軽率な決定が、国益の損失につながる大きな火種を抱えることになりつつあるのです。
 他国では、国有財産の国外引き渡しは極めて慎重に扱われています。例えば韓国とフランス間では、1866年にフランス艦隊が韓国の江華島を攻撃した際に強奪した「王室儀軌」の返還をめぐり、フランスが応ぜず17年間交渉が続いています。
 国有財産を他国に引き渡す、処分するということは国家主権にもかかわる問題であり、国家として極めて慎重に扱わなくてはいけない問題なのです。


◆ 反対の声の広がり

 このような様々な問題をはらむものでありながら、菅内閣は11月16日、日韓図書協定の国会承認を求める閣議決定を行い、協定は国会に提出されました。
 これは、我が国の国益を損ない、今後の外交の在り方にまで負の影響を与えかねない、極めて稚拙で無定見な愚挙だと言えます。
 韓国国立中央図書館蔵の日本古書や宗家古文書の存在を私が指摘した後、この協定への反対の声は確実に広がっています。
 自民党内では、「外交部会」で私がこの件について説明した際には政府への非難の声が相次ぎました。
 私が委員長代理を務める「領土に関する特命委員会」では、我が国の主権と国益の観点から図書返還の問題点について議論を進めます。
 私が副幹事長を務める『創生「日本」』(会長:安倍晋三元総理)では、政府の対応の誤りを指摘した上で、図書の引き渡し協定に抗議する声明を近々発表する予定です。
 他国と締結した条約や協定は国会の承認が必要なため、仮に民主党内でも反対の声が広がれば、国会による不承認、協定の発効阻止という可能性もあります。
 政府間ですでに合意したものと言われても、このような無定見且つ一方的な国有財産の引き渡し、他国との不平等条約の締結をそのまま見逃すことはできないのです。
 私は断固として日韓図書協定への疑問を投げかけ、国会内外でこれの問題点を強く訴えていく覚悟です。


 新 藤 義 孝

【動画】自民党外交部会(朝鮮王朝儀軌等引き渡しについて<私が在韓日本図書について説明しました>)

2010年11月16日の自民党外交部会の模様です。
議題は朝鮮王朝儀軌等引き渡しについてですが、私が韓国にある日本古書について説明をしています。日本の主権に関わる重大問題ですので、ぜひご覧ください。
 

週刊新藤第210号 どうすべきか、北方領土問題!ロシア大統領訪問への抗議と日本の対応

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1997年 9 月 ビザなし交流にて択捉島を訪問しました。根室から小さな船で 2 日間かかります。ホテルがないためロシア人のお宅に民泊して、島民との対話集会や日本人墓地の訪問を行いました。白砂が広がり草原と森、川ではサケが手づかみできるほどの豊かな自然がありました。


 心配していたことが現実となってしまいました。11月 1 日、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の一つ、国後島を訪問してしまったのです。旧ソ連・ロシアの国家指導者として歴史上初めてのことであり、日本としては絶対に受け入れられるものではなく、多くの日本人の心を傷つける許し難い行為です。決して容認することはできません。


◆ 北方領土の歴史的経緯

 我が国はロシアに先んじて北方領土を発見・調査し、1644年、徳川時代には松前藩が「クナシリ」「エトロホ」などの島名を記した世界最古の地図を作成しています。ロシアがこの周辺に姿を現すのは、その後100年以上後になってからです。
 1855年締結の日魯通好条約では、国境を「択捉島とウルップ島の間」と定め、全権代表を務めたプチャーチン提督は「択捉島は日本の領土であることが証明された」と述べています。
 樺太領有を含めこの地域では国境線の変更が複数回ありましたが、北方四島が日本以外の領土になったことはありません。
 事が動いたのは第二次大戦の終戦直前です。1945年 8 月 9 日、ソ連は日ソ中立条約を無視して対日宣戦布告を行いました。同条約は1941年 4月25日に締結され、有効期間は 5 年間だったので、ソ連のこの行為は明らかに条約違反になります。
 ソ連軍は終戦後の 8 月18日に千島列島への攻撃を開始し、28日に択捉島、9 月 1 ? 4 日に国後島、色丹島、歯舞諸島をそれぞれ武装解除、5 日までに千島列島と北方四島を占領しました。
 1951年のサンフランシスコ講和条約で日本は千島列島を放棄しましたが、過去に日ロ間で結ばれた条約に照らしても、放棄した千島列島に北方領土が含まれていないことは明らかです。
 そもそもソ連はサンフランシスコ講和条約には署名しておらず、同条約上の権利を主張することはできません。歴史的・国際法的な経緯を見ても、北方領土が我が国固有の領土であることは明らかであり、第二次世界大戦後、現在もロシアに不法占拠されているのです。


◆ 民主党政権の稚拙な外交が原因!

 なぜメドベージェフ大統領は、歴代のロシア指導者が見合わせてきた北方領土への訪問を強行したのでしょうか?
 2012年の次期大統領選挙を考えたロシアの国内対策が主要因だ、という人もおります。しかし、私はなんと言っても昨年秋からの民主党政権による国家主権の軽視、危機意識の欠如による外交・安全保障政策の欠落、軽すぎる言動と軸を失った外交の劣化がロシアにつけ込まれる原因を造ったと考えています。
 鳩山政権による普天間基地移設問題の迷走は、日米同盟関係に深刻な亀裂と不信を呼びました。
 菅政権においてはいまだに有効な打開策を打ち出すどころか、どんどん事態を悪化させており、日本外交はますます弱体化するばかりです。
 そこに中国との尖閣諸島沖の事件が起こり、圧力に負けた船長の釈放から始まり、衝突ビデオの非公開から今回の情報流失事件など、対応のまずさと弱腰姿勢、戦略性のなさはあまりにも脆い現政権の能力の無さを世界中に晒しています。
 これに加え、私が国会で厳しく追及している中国による「東シナ海ガス田の開発強行問題」や、韓国が不法占拠中の「竹島の新たな開発・施設整備問題」など、我が国の領土・領海・資源が犯されているにもかかわらず国民の皆さんに事実を明かさず、相手国に抗議を出来ない現政権による日本外交の稚拙さを見透かし、今がチャンスとばかりロシアは日本のスキを突いているのです。
 鳩山前首相は就任時に「出来れば半年」で領土問題を進展させたいと公言し、ロシア側に対し新提案があるかのような期待を持たせました。
 しかし、結局一度の訪ロも具体的な提案もなく、期待が失望に変わり、しびれを切らしたロシアが日本を見限るかのように今回の行動を起こした、というのが対ロシア外交関係者の分析です。
  9 月下旬のメドベージェフ大統領の北方領土訪問の予告に対し、日本政府はどんな対抗策を打ったのでしょうか?
 外務大臣がロシアのベールイ大使を外務省に呼び、警告を行い、モスクワの日・ロ事務次官級協議で訪問中止を申し入れを行った。表だった動きはこの程度であり、菅総理に至っては、「大統領が北方四島を具体的に訪問するとは受け止めていない」と発言する始末でした。


◆ どうすべきか、日本!!

 私たちは今こそ、自国の領土を守り主権を確立する行動を毅然と、かつ危機感を持って起こさなければなりません。
 実際のところ大混乱の中にある今の政権では、事態の打開は難しいと思われます。事情を聴くために一時帰国させた河野ロシア大使もわずか4 日間で戻してしまいました。対抗処置として切ったカードをいとも簡単に手放してしまう判断は、中国漁船船長を釈放してしまったことと何ら変わりません。
 私は委員長代理を務める自民党・「領土に関する特命委員会」を開催し、日本政府の対応についての声明を発出しました。(私のホームページをご覧ください。)
 まず、第一に我が国は事態を重く受け止め、ロシアに対し厳重抗議を行い、再訪問の無いよう申し入れなければなりません。そして国内外に「北方四島は日本固有の領土」ということを根拠を示しながらはっきり主張すべきです。
 今回のAPEC開催はロシアはもとより米・中・韓をはじめ各国の理解を得られる絶好の機会です。日ロ首脳会談でどこまではっきり日本の立場を伝えられるかは、今後の交渉の試金石になるでしょう。
 この原稿はAPEC会議直前の時点で書いておりますので、本当に心配です。何とかうまく対処できることを祈るばかりです。
 第二に、日本の立場を強くするために、日米同盟の立て直しと、アジアをはじめ友好関係にある諸国との協調体制の構築を図ることです。
 第三に北方領土に関する歴史的経緯等、正しい知識を国民に浸透させるための教育・啓発事業を強化すべきです。
 そのためには北方領土対策にかかる予算を拡充し、政府がその姿勢を示す必要があります。残念ながら、今回の補正予算にそうした経費が追加計上されたことはありませんし、来年度予算要求は10%カットされた状態から査定が始まるのです。
 領土問題交渉は多面性を持ちつつも、相手国との一時的な外交関係の悪化を覚悟してでも、ぶれない姿勢が重要です。さらに、国の在り方そのものに関わることであり、絶対に引くことはできません。今後も政府の姿勢を厳しく質すと共に、私自身も事態の好転に向けた取り組みを続けてまいります。



 新 藤 義 孝

【動画】APECの点数稼ぎの為に使われる”TPP”

~またも場当たり的な民主党政権の政策!!日本農業に対するセーフティーネットの検討も全くなされずに締結されようとしているTPP~
2010年10月31日JR川口駅東口での街頭演説です。

【その他の動画はこちらから】

【J-Stationも是非ご覧ください】
 

11月1日、尖閣・東シナ海ガス田問題について官房長官に申し入れを行いました。

11月1日、石垣市と石垣市議会から受けた尖閣諸島に関する要請、及び、東シナ海のガス田「白樺」掘削問題について、石破政調会長(領土に関する特命委員会委員長)、新藤義孝(同委員長代理)、佐藤正久参議院議員(同事務局長)で仙谷官房長官に申し入れを行いました。

官房長官には、尖閣・ガス田に関する7項目について25分程度要請をしました。石破委員長の要請に加え、私から、海上保安庁の船が中国漁船に衝突したという、中国のインターネットサイトで出回っているデマイラストを説明した上で、衝突ビデオについては編集前のものを国内外に全面公開すべき、尖閣諸島の実効支配を強めるため利用調査を行うべき、石垣市の尖閣への上陸を認めるべき、ガス田開発は掘削を行っている可能性が高く11月中旬には完成するかもしれないので一刻も早く中止を申し入れるべき、と強く要請し、官房長官と意見交換しました。
しかし、官房長官はそれぞれについて「検討する」と述べたものの、具体的な回答はありませんでした。

以下に申し入れ書の全文を掲載いたしますので、ぜひご覧ください。 

石垣市及び石垣市議会からの要請、及び、東シナ海ガス田掘削問題に対する決議

今後も引き続き国会において政府を追及してまいります。

衆議院議員 新藤義孝

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週刊新藤第209号 オープン・タウンミーティング報告~「政治は街から」の精神に則って~

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「新藤義孝オープン・タウンミーティング」第一回を開催しました。当日の模様は、私のHPで動画公開しております。ぜひ、ご覧になってください。
次回は11月11日(木)夜 7 時から川口駅前キュポ・ラ 4 階です。


◆ 第一回タウンミーティング開催

 10月14日、第一回「新藤義孝オープンタウンミーティング」が開催されました。
 組織的な動員は行わず、ポスターや駅頭でのチラシなどで告知しました。何人来てくれるのか心配しましたが、当日は100名を超える多くの方にお集まりいただきました。
 また、インターネットの生中継もJ?NSCの仲間がやってくれました。参加いただいた方、ネットで見てくれた方、手伝ってくれた仲間や心配してくれた方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
 会は私の基調挨拶の後、24人もの方からご質問をいただきました。
 湘南・新宿ラインの川口駅停車や地下鉄南北線に関する話題、聴覚障害の基準、中国や竹島など外交関係、景気対策、マスコミ報道への疑問、小沢問題から自民党改革、国家の将来など、実に幅広い多岐にわたる内容でした。
 時間の都合で全てお答えできなかったことを申し訳なく思っておりますが、それらも含め、懇談の模様をご報告します。


◆ 景気対策・中小企業対策について

◎「景気対策と公共事業について」考え方を問われました。
 私は公共事業について、経済の需給ギャップを埋めるために、今こそ必要だと思っています。従来型ではなく、地域産業に直接刺激を与えられる工夫をしては、とも考えます。
 例えば、学校耐震化と共に全国の小・中学校にエアコンを入れたらどうでしょうか?
 現在の教室の設置率はなんと一割です。教室にエアコンを入れれば、子供たちは喜ぶし、まちの電気屋さんに仕事が出ます。学校耐震化工事も仕事をやるのは、まちの建設屋さんです。
 こういった実需を刺激して身近な所にお金が落ちる仕組みをつくれば地域経済が活性化するし、公共事業のイメージも変わるのではないでしょうか。
◎「中小企業では人を雇おうとしても、雇いたいと思うような人が来ない。人材のミスマッチを解消するには。」という質問がありました。
 自民党の参院選マニフェストでは、中小企業に特化した人材マッチング事業を提唱しています。地域の中小企業が「人材育成研究会」のような機関を創設し、人材育成の専門家が行政や教育機関と連携のとれる仕組みを作ることを提案しています。日本の中小企業の技術を将来につないでいくためにも、産官学が連携して人材確保に取り組める体制をつくってまいります。


◆ 選挙・政局について

◎選挙や政局について、「自民党と民主党の中堅・若手による新党の可能性は。」「現在の小選挙区比例代表並立制は民意を反映しない制度ではないか。」などの質問が出ました。
 政界再編は私の最大の願いです。民主党議員から、旧来型の金権強権政治=小沢型の人と、左翼的思想をもった社会主義系=菅・仙谷型の人を取り除いたと想像してください。
 自民党議員も同様に考えや政治手法の違う議員を選別します。
 そして私のようにどちらにも属さずにいる議員達によって政界再編をやりたい、と私は考えているのです。
 また小選挙区制は死票が多く生まれ、一議席を争う苛烈な戦いは日本人のメンタリティに合わないという意見には同感します。
 しかし、小選挙区制度は10年近くの議論を経て導入されたものであり、まだ 5 回の選挙しか行われていません。弊害を少なくしながら、制度とうまく付き合っていくことが必要だと思います。


◆ 中国との付き合い方について

◎尖閣問題が注目される中、芝園団地の中国人問題や外国人参政権に絡めて、中国についての質問も複数ありました。
 私は、中国人を含め日本に入ってくる外国人で定住を望む人は、帰化してもらうべきだと考えています。永住外国人への地方参政権付与には明確に反対であり、権利を求めるなら日本人になってもらうことです。
 一方で日本社会は世界にさらに門戸を開くべきで、文化や習慣の違う外国人にも住みやすい国、住みたい国になることは、日本の国際社会における信頼性の向上、経済の発展にとって非常に重要なことです。留学生が日本で就職しやすい仕組みを作るなど、対策を進めていくべきです。
 対中国外交に関しては、主張すべき所はこれまで以上に主張せねばなりません。尖閣問題で玉虫色の解決はありません。東シナ海ガス田開発問題では日本の権益確保のため、直ちに必要な措置をとるべきです。
 許せないことに現在の民主党政権は、中国に対して主張しないばかりか、外交上の関連情報を国民に全く公表していません。我が国の主権と国益を守ることに関しては、与・野党の立場にこだわらず徹底的に追求してまいります。


◆ その他のご質問について

◎「宮崎県が口蹄疫問題の復興資金として要望した約300億円に対し、政府の回答は約30億円。少なすぎる。」との意見がありました。
 初動の遅れと稚拙な対応により被害を拡大させた事は政府の責任です。地元経済の復興支援の政府責任を果たすよう国会で働きかけます。
◎「日本では動物の殺処分が他の先進国に比べてかなり多いが、これを抑えられないか。」
 私はこのことのために、自民党の参院選挙マニフェストに「動物愛護管理法の改正」を提案し採用されています。15才以下の子どもの数を超える2300万頭超のペット登録がある日本において、人間のパートナーとして動物と共生するという考え方が必要です。避妊・去勢措置支援やペット登録・管理システムの整備など殺処分を減らすための対策を働きかけていきます。


◆ 日本を元気に。そのための議論を

◎「日本の将来について、明るい話が聞きたい。」という要望があり、私はこのような話をしました。
 車のボンネットや飛行機の翼に使われるカーボン繊維は日本企業が世界の 7 割を占めている。宇宙から資源を探査・発見する衛星技術、海底無人探査技術、他国より何倍もエネルギー効率の良い技術や産業機械。CO2 の削減は日本の環境技術がなければ実現出来ないこと・・・。
 これら世界を引っ張っている日本の技術を提供し、世界に貢献するべきです。そして人々に喜ばれつつ、大きな経済的恩恵を受けることを目指にすべきと思います。我々の国はまだまだ成長できるのです。
 日本を元気にしたい。参加者の想いは一つだったと思います。
 タウンミーティングの今後の予定は、11月11日(木)と12月 7 日(火)、いずれも夜 7 時から川口駅東口駅前のキュポ・ラ 4 階で行います。
よろしければ是非お出かけください。お待ちしております。

 新 藤 義 孝

【ビデオ映像付きでご紹介】衆議院「安全保障委員会」 2010年10月21日

10月21日の衆議院安全保障委員会での質疑の模様です。尖閣諸島・東シナ海ガス田問題について質問しています。ぜひご覧ください。

また質問に使った資料も下に添付しますので、あわせてご覧ください。

○漁船衝突事案に関する中国のインターネットサイト(日本の海上保安庁の船が中国船に衝突したとの記事)

○東シナ海ガス田「白樺」2009年秋以前と2010年8月の姿の比較写真

○東シナ海ガス田「白樺」にドリルが入れられた写真(新聞記事より)

【動画】10/21 衆議院安全保障委員会 尖閣・東シナ海ガス田問題について質問しています。(衆議院TVより)漁船衝突事案・東シナ海ガス田の資料もあります。

10月21日の衆議院安全保障委員会での質疑の模様です。尖閣諸島・東シナ海ガス田問題について質問しています。ぜひご覧ください。

また質問に使った資料も下に添付しますので、あわせてご覧ください。

○漁船衝突事案に関する中国のインターネットサイト(日本の海上保安庁の船が中国船に衝突したとの記事)

○東シナ海ガス田「白樺」2009年秋以前と2010年8月の姿の比較写真

○東シナ海ガス田「白樺」にドリルが入れられた写真(新聞記事より)

10月21日、衆議院安全保障委員会で尖閣・東シナ海ガス田問題について質問します。

衆議院安全保障委員会での質疑のお知らせ

日頃より多大なるご支援を賜り厚くお礼申し上げます。
下記の通り、10月21日(木)の衆議院安全保障委員会において、質疑を行うことになりましたので、ご案内させていただきます。
                                                           衆議院議員 新藤義孝
                                                                         
                                  記

☆衆議院安全保障委員会:10月21日(木) 午前9時より

◎国の安全保障に関する件
                                   
私は10:10~10:40の間、尖閣諸島・東シナ海ガス田問題について質問します。
                                    
☆テレビ中継はございませんが、インターネット中継 『衆議院TV』
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php にてご覧いただけます。
                                                                         
☆なお、後日私のホームページに質疑の動画をアップ しますので、是非ご覧下さい。

週刊新藤第208号 ウラジオストク・フォーラムに参加~極東ロシア地域との発展可能性~

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ロシア極東と日本の交流会議「ウラジオストク・フォーラム」に参加してきました。会議の概要はHPの動画をご覧ください。会議終了後、「シベリア抑留者の日本人墓地」にお参りしてきました。日本人として、抑留者の方々のご苦労を決して忘れることはできません。


◆ ウラジオストク・フォーラム

 9 月19日?23日、ロシアのウラジオストクに出張し、ロシア沿海州と日本の交流会議「第 1 回ウラジオストク・フォーラム」に学者やジャーナリストと共に参加しました。
 フォーラムの日本側主催団体である安保問題研究会は、北方領土問題の解決を目標に活動している団体で、これまでのサハリン州とのフォーラムに換えて、新たにウラジオストクでの会議を企画しました。


◆ 日露の発展可能性

 ロシアというと「遠い」イメージがありますが、ウラジオストクがある極東・沿海州は、札幌と同緯度で成田から 2 時間で到着します。
 またロシアは世界の中の大国だと思うかもしれません。確かに軍事力についてはその通りですが、その他の指標で日本と比較すると、面積は日:露で 1 対45ですが、人口では 1億 2 千万人の日本と 1 億 4 千万人のロシアとあまり変わりません。
 GDPでは 1 対0.2と日本の 5 分の 1 程度です。日露の貿易額は日米の13分の 1 、日中の19分の 1 、人の往来は日米の26分の 1、日中の29分の 1 です。
 これは日露間の交流が未だに低レベルにあることを示すと共に、交流を拡大する潜在的可能性がとても大きいと言うことを表しています。
 そして日露交流を進める上では、欧州にある遠いモスクワよりも、日本のすぐ隣に位置する極東ロシアが重要になってくるのです。


◆ ウラジオストクの位置づけ

 ウラジオストクは人口約60万人で極東の中心都市です。ソ連時代は不凍港として重用され、1958?91年までは外部の人間の立ち入りが禁止された軍事閉鎖都市でした。
 広大な国土を持つロシアは欧州でありアジアでもあります。2012年にはロシアで初めてのAPECがこの街で開催されることが決まっており、アジア・太平洋地域への窓口としてウラジオストクの存在は極めて重要です。


◆ 北方領土問題は日露関係の妨げ

 日露の交流を拡大していくには、どうしても乗り越えねばならない問題があります。「北方領土」です。
 日本の新聞社の世論調査では、現在の日露関係が「悪い」と見ているのは69.2%であり、「北方領土問題が日露関係の妨げになっている」と答えた人は84.7%にものぼります。北方領土がいかに両国関係に負の影響を与えているかが分かります。
 北方領土が解決せずとも、当然両国の交流は進めねばなりません。ですが、これを放置したままでは真の友好関係が築けないのが事実です。
 しかし、残念ながらロシアの一般国民で、こうした日本の想いを正しく認識している人は極めて少ない、と言うことが実情なのです。
 最近のメドベージェフ大統領の北方領土訪問表明など、日ロの交渉はかつて無いほど厳しさが増しています。日本は硬軟かつ多角的なアプローチがさらに必要と考えています。


◆ 成功体験のすすめ

 フォーラムで私は、日露の友好関係を成熟させるには、両国間で成功体験を積み重ねていくことが重要だと発言しました。
 私は外務政務官時代、旧ソ連の退役原潜解体事業「希望の星」プロジェクト(週刊新藤第45号をご覧下さい)に関わり、10年間手つかずだった解体事業の実施に成功しました。これを契機に事業は進み、今年になって極東地域に原子炉を搭載したまま放置されていた61隻の原潜全ての解体が完了しております。
 私はこの交渉を通じロシアのイメージが変わり、ロシア人が好きになりました。日露双方の国民がもっと多くの成功体験を得られれば、それがやがては両国関係をも変える可能性を持つと思うのです。


◆ 真の友情を築くために

 極東地域においてロシアの資源、中国の労働力、そして日本の技術力という 3 要素が結合すれば、アジアにおいて計り知れない力が生まれます。これを実現するためには領土問題を解決し、日露間に真の友情関係を築くことが必要です。
 「民主主義国では国民の声が政治を動かす。それ故に、日本と特に関わりの深い極東の人たちに日本側の主張を理解していただき、モスクワに問題解決へ国民の声をあげてもらうことが非常に有効だ。」フォーラムの場で私はこう述べました。
 日本の隣国ロシアとの発展可能性について、今後も地道に追求していきたいと思います。


 新 藤 義 孝

【動画】オープンタウンミーティングのお知らせ

この度、皆さまと私との自由討論の場として、新藤義孝「オープン・タウンミーティング」を企画いたしました。下はそのお知らせ動画ですので、ぜひご覧ください。
タウンミーティングへの参加申し込みはコチラからお願いいたします。

【動画】「ウラジオストク・フォーラム」に参加・シベリア抑留者の日本人墓地訪問

ロシア極東と日本の交流会議「ウラジオストク・フォーラム」に参加してきました。北方領土問題について主張すると共に、会議終了後は「シベリア抑留者の日本人墓地」にお参りしてきました。フォーラムと日本人墓地訪問の模様が下の動画に収められていますので、ぜひご覧ください。

週刊新藤第207号 準天頂衛星「みちびき」の打ち上げ~G空間プロジェクトが目指すもの~

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9月11日、種子島宇宙センターに出張し、準天頂衛星「みちびき」の打ち上げに立ち会ってきました。その時の動画と資料を私のホームページに載せてありますので、ぜひご覧ください。


◆ 「みちびき」の打ち上げに立ち会う

 9 月11日、私は種子島宇宙センターに出張しました。準天頂衛星「みちびき」を搭載したH2Aロケットの打ち上げに立ち会うためです。
 「みちびき」は日本初の測位衛星です。現在米国の衛星から得ているGPS情報を補強することで、位置測定精度を従来の10倍以上に高める事が出来るようになります。
 私は、政府がこの衛星を打ち上げる根拠法となる、自民・公明・民主各党で議員立法した「地理空間情報活用推進基本法(2007年 5 月成立)」の提出者です。法案とプロジェクトの内容は、週刊新藤第130号(07年 5月)をご覧下さい。
 そして、現在までこのプロジェクトを進めてきた自民党の推進部会の事務総長を努めております。


◆ 自民党部会の事務総長として

 今回の打ち上げは、構想段階から10年以上が経過する中で、いよいよ実際に衛星を打ち上げて実験を開始するという、夢の実現に近づくものです。
 私自身は2006年から自民党部会の事務局長に就任し、成立が難航していた法案の成立に汗をかかせていただきました。
 法案成立の 3 ヶ月後に経済産業省・副大臣に就任し、省内に民間企業が参加する「地理空間情報研究会」を作り、この衛星を使った利・活用アイデアやビジネスモデルの検討を行い、報告書をとりまとめ政府に提言しました。
 副大臣離任後は、自民党部会の事務総長として戻り、現在まで各省庁間の予算要求のとりまとめや産業界との窓口役として活動しています。
 この仕事を所管する省庁は、内閣官房・文科省・国交省・経産省など14省庁に及び、民間では経団連を中心にたくさんの企業が参加、学者や科学者の皆さんなどを含め、実に裾野の広い壮大な仕事なのです。
 これまでに投入した予算は約750億円ですが、国家プロジェクトが構想から法案作り、実証実験を行い最終的に実現するまでには、規模に比例して時間と予算がかかる、という当然の事柄もご理解いただけると思います。今、政府では仕分けという名の下で科学技術予算を縮減し、マニフェストの財源探しに躍起となっておりますが、目先にとらわれ我が国の将来の希望やチャンスをつぶしてしまうことのないよう、強く訴えていかなければなりません。
 ちなみに、参院選の自民党マニフェストでは、この地理空間情報プロジェクトが 3 カ所出てきます。このプロジェクトの重要性と可能性の証となるものです。一方で、残念ながらこのプロジェクトはほとんど国民に認知されていません。そもそも「地理空間情報活用推進事業」などという長い名称は、誰も覚えられませんし、イメージがわきません。


◆ 世界初の試み、「G空間プロジェクト」

 私は政府にこのプロジェクトに愛称を付けるよう提案しました。その結果決まったのが「G空間プロジェクト」という言葉です。
 Gは「ジオスペィシャル」=地球空間を表す言葉の頭文字のGです。
 G空間プロジェクトとは、衛星測位と地理情報システムによってもたらされる位置情報を、いつでも・どこでも・誰もが利用できる社会作りを目指すものです。
 こうした取り組みは世界初であり、日本独自のアイデアなのです。
 「みちびき」は電波状況の改善のためだけに宇宙に放たれたのではありません。より正確な衛星測位情報と電子基盤地図を活用し、我々の暮らしをより快適・効率的にする「G空間社会」の実現のために打ち上げられたのです。
 このG空間情報を活用することで、これまでとは違う高い次元の様々なサービスが期待できます。


◆ 海洋資源探査・地震・津波予知

 日本はEEZを含めると世界第 6 位の海洋国土面積を持つ海洋国家であり、海洋資源を有効に活用することは更なる発展には不可欠です。
 沿岸水域やEEZを完全にカバーする地理空間情報を整備し、正確な海底地形やこれまでの資源探査の成果を蓄積したデータベースを構築できれば、海洋資源の探査・開発や地震・津波の検知など、多くの目的に使用できることになります。 


◆ IT農業で課題を克服

 農業の分野でも威力を発揮します。例えば田植機に農作業を記憶させて自動的に田植えを行ったり、農薬や肥料のデータを記録することによって使用量の最適化・効率化を進めることができます。
 後継者不足・高コストなどの問題を抱える日本の農業にとって、G空間社会の到来は救世主になる可能性があるのです。


◆ 暮らしを変えるG空間プロジェクト

 この他に、G空間社会に向けて以下のような実証実験が計画されています。
○航空・鉄道・船舶等の交通・運転ナビゲーション
○屋内外における個人用のナビゲーション(屋内・地下街などGPS受信
 できない場所での情報提供)
○子供やお年寄りの位置確認(防犯・治安対策の向上)
○遭難救助、危機管理(地震・火山噴火など災害の予知、監視、また災
 害時の避難誘導等)
○高精度時刻(電子商取引などを支 える高精度の時刻サービス)


◆ G空間プロジェクトが目指すもの

 G空間社会の実現に向けた最大の課題は衛星 2 ・ 3 号機の打ち上げです。準天頂衛星は 1 機で 8 時間日本上空をカバーできるため、24時間カバーするにはあと 2 機必要です。
  1 機あたり350億円程度の開発費をさらに削減するため、設計仕様の見直しは不可欠です。
 一方、現政権は 2 ・ 3 号機の打ち上げ方針を未だに明確にしておりません。私は自民党の推進部会や超党派の宇宙議連での活動を通じ、政府に対しプロジェクトの着実な推進を強力に働きかけてまいります。
 宇宙利用分野は、世界共通の産業成長分野でもあります。米国の「GPS」に加え、EUは「ガリレオ」、ロシアは「グロナス」、中国は「北斗」という全地球測位システムを相次いで開発整備中なのです。
 この地理空間技術は、国際社会において、ナノテク・バイオと共に将来が期待される三大重要科学技術分野とされています。
 宇宙開発を巡る熾烈な国際競争の中、日本は独自の斬新なアイデアによる「G空間プロジェクト」を早期に実用化するべきです。
 日本の技術で世界に貢献し、人々の暮らしや社会を変える、という夢の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。


 新 藤 義 孝

下村博文政調副会長「高校授業料無償化、朝鮮学校を対象としていいのか!」「Jステーション オレの話を聞いてくれ」より

下村博文政調副会長「高校授業料無償化、朝鮮学校を対象としていいのか!」
「Jステーション オレの話を聞いてくれ」より
ネットメディア局長として私がお話しを聞いています。ぜひご覧ください。

【動画】準天頂衛星「みちびき」打ち上げ視察(種子島宇宙センターにて)

9月11日、種子島宇宙センターに出張し、準天頂衛星「みちびき」の打ち上げに立ち会ってきた際の動画です。ぜひご覧ください。

また、「みちびき」に関する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の資料もありますので、併せてご覧ください。

 

週刊新藤第206号 日本の国境を守れ!東シナ海ガス田・尖閣諸島・与那国島の視察報告

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私のHPに視察報告を動画でご紹介しています。ぜひご覧下さい。


 8 月25・26日、私は衆議院安全保障委員会理事として視察を行いました。沖縄の那覇基地から自衛隊の飛行機を使用し、東シナ海の洋上にあるガス田とその先にある尖閣諸島を上空から視察、その後に我が国最西端の与那国島に着陸し、町長始め町議会関係者から事情を聞くという内容です。
 私自身は東シナ海のガス田も尖閣諸島も過去に訪れておりますが(「週刊新藤」第49号第115号を参照)、他党の議員も含めて安保委員会のメンバーに現状を知ってもらうことが今後の国会議論のために重要だと考え、理事会で私から企画し、与・野党理事の賛同を得て実施されました。


◆ 東シナ海ガス田開発の現状

 まず東シナ海のガス田に向かいました。中国が日中の中間線付近で開発しているガス田は、そのガス層が中間線を越えて日本側まで続いていることが確認されており、我が国は中国に対し単独開発の中止を求めてきました。
 度重なる外交交渉の結果、建設途中のガス田「白樺」については2008年に日中共同出資により開発することで合意し、「両国間で条約が結ばれるまで施設の開発は行わない」ということになったのです。
 私は当時、交渉の当事者である経済産業省の副大臣を務めており、この問題には直接関わっております。
 ところが、条約交渉が中断していた昨年の 7 月と 8 月、日本の衆議院の解散総選挙の頃、政治の混乱を見透かしたかのように、二度にわたり中国側が船で建設資材を運び込みました。当時の自民党政府は中国側に抗議し船を引き上げさせました。
 この海域には自衛隊機が毎日飛んで哨戒監視活動を行い、写真を撮っています。中国側の動きは一日単位で把握できるのです。


◆ 事実を公表しない民主党政権

 しかし、 9 月以降の民主党政権は、施設工事が進んでいることを国民や国会に公表しないばかりか、鳩山首相や岡田外相は中国に対し明確な抗議を行わず、「白樺」の掘削施設は完成してしまいました。政府は本年1 月の日中外相会談で、岡田大臣がガス掘削に着手しないよう合意遵守を求め、そのことが新聞報道されたことで、私たちも事実を確認することができたのです。
 この報道を受け、自民党外交部会では現況写真を見せるよう外務省に要求しましたが、なんと拒否されてしまいました。その理由は「外務大臣と官房長官からの指示により写真を見せてはならない」ということだったのです。
 私がかねがね訴えております民主党政権の外交の密室性や独善性が現れたものであり、今回の視察は、政府が写真を見せないなら、国会議員が直接自分の目で確かめるしかない、という想いで行ったものです。


◆ 施設の完成を自らの目で確認

 航空自衛隊那覇基地から自衛隊機に乗り込み洋上を40分程度飛行すると、ガス田と掘削施設が見えてきます。問題のガス田「白樺」は、完全にやぐらが組み上がっており、デッキ部分のみだった 2 年前と明らかに違っていることは一目瞭然です。
 施設の先端には自らの主権を誇示するかのように中国国旗が掲げられておりました。


◆ 我が国固有の領土、尖閣諸島

 次に向かった尖閣諸島は我が国が一貫して平和裏に領有してきました。ところが、1969年に国連の調査で周辺海域に石油・天然ガス等のエネルギー資源が存在することが分かると、中国と台湾がその領有権を主張し始めたのです。
 尖閣諸島は日本固有の領土であり、領有権問題は存在しておりません。資源目当ての他国の主張を受け入れることは絶対に出来ません。
 尖閣諸島の中で最も大きな魚釣島には、今でもかつて日本が作った住居跡や灯台、水路等が残っています。
 上空からの視察では魚釣島の周囲を何度も旋回し、安保委員会のメンバーと共に、改めてしっかりと島を目に焼き付けてまいりました。


◆ 防衛上の要地、与那国島

 上空視察を終え、自衛隊機は与那国島に着陸しました。沖縄本島から500キロ、台湾の東約110キロに位置する日本最西端の「国境の島」は、東シナ海の中国海軍の活動活発化を受け、我が国防衛上の重要性が指摘されています。
 沖縄本島以南では宮古島に自衛隊のレーダー基地が置かれているのみであり、この地域には防衛力の空白が生じているのです。
 2008年には与那国町議会で自衛隊誘致の決議が可決されました。与那国島を含む南西諸島への防衛力配備は私も安保委員会で提案しており、今回の委員会理事による視察は、この実現に向けた強いメッセージになると考えています。
 また与那国町議会は外国人参政権に反対する意見書も採択しています。昨年 8 月の町長選挙では、自衛隊誘致賛成派の町長が僅か103票差で当選しました。外国人参政権が付与されれば、日本の防衛力強化を阻止するために母国の意をくんだ永住外国人が住民票を移し、自衛隊誘致反対の町長を当選させることもできることになってしまいます。


◆ 民主党政権の密室・弱腰外交

 今回の視察のテーマは資源確保、領有権、防衛力整備といういずれも国家の基本となる問題です。
 民主党が政権を取って以来、わずか一年も経たないうちにこうした国の根幹が揺らぎ、弱体化しています。
 都合の悪いことは国民に隠しつつ、言うべきことをはっきり言わない稚拙で弱腰な外交は、他国に付け入る隙を与え、我が国の国益を大きく損ねてはいないでしょうか?
 東シナ海では中国海軍艦艇による航海訓練が常態化し、日本のEEZ内で中国の資源調査船が勝手に活動していたことも判明しました。
 逆に日本の調査船が日中・中間線の40キロも手前の日本側海域で中国政府船に追い出されるという事件も起きています。
  7 日には尖閣諸島で中国漁船が違法操業し船長が逮捕されましたが、中国の外務省報道官は日本に抗議しつつ「尖閣諸島はもともと中国の領土だ」と言い放ちました。
 中国は東シナ海の実行支配を確実に強めるため、既成事実を重ねる行動に出ているのです。
 国政の第一優先事項は国民の安全と豊かなくらしのために、国家の主権と国益を考える事だと思います。
 今回の視察はこうした基本を胸に刻む良い機会となりました。自分の目で確かめたことを有効に活かし、精一杯活動してまいります。


 新 藤 義 孝