第51号
2005.04.04
発 行

自分の情報を守るには 〜個人情報保護法施行

◆ 個人情報保護法 施行 ◆

 一昨年5月に成立した「個人情報保護法」が、この4月1日より全面施行されました。同法の目的は、個人情報の収集・利用に法的な網をかぶせることで,情報流出や悪用を防止しようというものです。5,000件以上の個人情報を取り扱っている事業者に、流出防止への対策が義務づけられ、違反に対して罰則が設けられています。
  • 個人情報を収集する際には利用目的を明確にし、通知や公表をしなければならない。
  • 目的以外に利用する場合には、本人の同意を得なければならない。
  • 本人の同意を得ずに第三者に情報を提供してはならない。
  • 本人から情報開示を求められたら速やかに応じる。
  • 公開された情報に間違いがあったら速やかに訂正・削除する。
  • 主務大臣の命令に違反した場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金。

◆ IT社会の実現と個人情報保護 ◆

 2001年、当時の森内閣によって発表された「e-Japan戦略」において、政府は「全ての国民が情報通信技術を積極的に活用できる社会の実現に向け、5年以内に世界最先端のIT国家になる」という目標を掲げました。この e-Japan戦略は全てのIT政策の根幹とも言えるものであり、高度情報通信ネットワークのインフラ整備、電子政府への取り組み、インターネット関連の教育、EC(電子商取引)に関する規制緩和、そして個人情報保護法の制定までも、この戦略に基づいています。
 個人情報の保護は、IT社会を支える制度的基盤のひとつとして重要な意味を持っています。例えば、きちんとした個人情報保護法がなくては、電子政府や電子自治体の申請を国民が安心して利用できるようにはなりません。
 私は、来るべきIT社会の実現に向け、政府の e-Japan構想に先駆け、1999年の第145回国会・衆院地方行政委員会において、「個人情報保護制度の対象を、地方自治体や民間にまで拡充すべきだ」という提言を行いました。
 当時、個人情報の保護に関する制度は、昭和63年に制定された国の行政機関に対する規制しかなく、地方の役所や民間企業が保有する大量の個人情報については、流出・売買が横行してしまっていたのです。
 コンピュータの処理能力向上により大量の個人情報を一括処理することが可能となった現在、民間企業は顧客データをコンピュータに蓄積してデータベース化することにより、様々な目的のために二次利用することができるようになりました。また、コンピュータがインターネットを含むネットワークとつながることにより、購買履歴などのデータがリアルタイムで蓄積され、企業がより詳細な個人情報を把握することが可能となりました。
 その一方で、個人情報の漏洩事件が後を絶たず、データの取扱いに対する社会的な不安は増大しています。デジタルデータ化された個人情報は、紙媒体と比較して複写が容易であり、ネットワーク経由であれば容易に外部に送信可能です。
 強固なセキュリティーシステムの設計と、個人情報の取扱いに対する制度の確立なくして、種々のIT政策を推進することはできない。それが私の持論だったのです。


◆ 個人情報の自己防衛 ◆

 私たち個人としても、自分の情報は自分で守るという意識を持つことが大切です。例えば、懸賞への応募、カタログの請求、アンケートの回答など、自らが情報の漏洩元になっていることも少なからずあります。さらには、電話や訪問勧誘により巧みに自分の個人情報を聞かれている場合もあります。個人情報が収集される際の利用目的を確認し、必要とされる以上の提供をしないことです。
  • 具体的には、例えば、署名やアンケートを求められた場合に、住所・氏名・電話番号などの記入欄があっても、気軽に書いたりしないこと。特に、基礎的な情報だけでなく、趣味など付加的な事項まで求めてくる場合は、「何のために必要なのか」を問いただしてもいいし、拒否してもかまいません。
  • 官公庁の職員になりすましたりして、巧みに接近し個人情報を狙ってくることもあります。その際は、身分証の提示を求め、その人間が本当にそこの職場にいるのか、電話の場合かけ直してみることも有効です。
  • ゴミの出し方にも注意が必要です。カード番号、買い物履歴、好きな食べ物や嗜好、健康状態や病状、取引銀行や貯金残高など、場合によってはゴミがが恐ろしい情報漏洩につながることもあります。書類ゴミを出す場合は、シュレッダーにかけるようにすること。また、清掃車の作業員に直接ゴミ袋を手渡しする方が安全と言えます。
  • 不正流用対策としては、住所を書く際に、最後にAとかBといった自分だけにわかる符号を付けるという方法もあります。例えば、○○市○○町1-2-3○○ハイツ101Aといった感じです。もし、符号のついた住所宛に、個人情報を提供したのとは違う企業からダイレクトメールが送られてくれば、流用されたことがわかります。

 現代社会において、個人情報を一切どこにも提供せずに生きていくことなどできません。役所への住民登録は当然のこと、学生なら学校に、サラリーマンなら会社に、納税者なら税務署に、また様々な企業にもそれぞれの個人情報が登録されています。いずれもそれによって得られる利益も多々あります。リスクとメリットを考慮し、慎重に行動する事が大切です。

新 藤 義 孝


新藤義孝プロフィール

 昭和33年川口生まれ。明治大学卒業。
 川口市役所で地方自治を経験し、市議を経て、
 平成8年38歳で衆議院議員に。当選2回。

 小泉内閣では総務大臣政務官(43歳)、
 続いて国会対策副委員長、
 外務大臣政務官(44歳)を歴任。
 昨年11月の総選挙で惜敗。次をめざす47歳。


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